飼鳥情報センター 

  食餌と栄養剤

ペレット成分シード成分副食栄養剤感想推奨ペレットビタミンとアミノ酸|特殊飼料

主食

主食はシード(種子)とペレット(総合配合成形飼料)に大別されます。専門家が指摘するメリット・デメリットは以下のとおりです。

摘 要 メリット デメリット
シード 通常飼鳥に与えているものです。大型インコの場合はヒマワリ、麻の実、トウモロコシ、ソバの実、サフラワー(ベニバナ)、小麦、燕麦などを混ぜて与えます。ただし昔からヒマワリが中心です。 長年の実績があり安心できる。鳥のクチバシの特性に合致している。いろいろな種類から選択できてストレスがたまらない。
安くどこでも入手できる。
ほとんどが脂肪分40〜50%と含有率が高く、肥満になりやすい。栄養が偏り必要なビタミンやアミノ酸が摂取できず、健康を損ないやすい。
ペレット ここ10年ほどの間にアメリカを中心に急速に発達した飼料。ドッグフードなどのように、これだけを与えることで、鳥に必要な栄養分をすべて摂取させることを目的としている。 メーカーによれば、これだけですべての栄養分が摂取できる。脂肪分がたいてい7%ほどなので、肥満を防止できる。 単食によるストレスの心配。1メーカー製品では慢性症状が心配。鳥が好まずシードからの切り替えが難しい。値段が高く入手も容易でない。

確かに脂肪の摂取過剰は肥満、糖尿病、痛風その他の病気につながりますので、できるだけ含有率の低いものを与えたいものですが、高脂肪食のほうがおいしいらしく、切り替えで行き詰まることも多いようです。ちょうど子供がスナック菓子ばかり食べて食事をとらず、生活習慣病(成人病)になるのと同じで、「良く食べるから」という理由だけでシードに固執する必要もないでしょう。一方ペレットは歴史が浅く信頼性に欠けるのも事実です。アメリカ製品には色もどぎつく、ニオイも強い製品がありますが、こうしたものは確かに安全性の面で心配があります。人間に無害な「着色料」も繊細な鳥には有害ということも考えられますから。
また、疑問なのは鳥の大きさ別にペレットの大小はありますが、成分は同じということです。例えばラウディブッシュのペレットは、主にオカメインコで実験を繰り返したそうですが、その要求する栄養素と、体の大きいコンゴウインコの要求する栄養素とは異なるはずです。端的に言えば脂肪分がコンゴウインコの要求するレベルに達していないのではないか、ということです。これについての明確な回答はなされていません。ペレットでは羽ツヤが悪くなるという大型インコ飼育者の報告もあります。さて???また、アメリカの人間社会での極度の健康指向(脂肪嫌悪)がペレットの成分にも影響していると考えることもできるでしょう。

シードからペレットへの主食の切り替え

おいしいシードから味気ないペレットへの切り替えは当然苦労します。ヒナのときにフォーミュラー3などを食べていた場合は、割合スムーズに切り替わるようですが、長期間シード食を続けてきた場合は相当頑強な抵抗を受けることを覚悟しなければなりません。鳥は食生活については非常に頑固です。切り替えの前提としては、鳥とヒトとの関係が良好であることが不可欠です。信頼されてこそ新しいものを受け入れてもらえるのです。切り替え方法には次のような手段がありますが、決して無理はしないでください。必ず朝夕にフンの状態を確認して、きちんと食べているかどうかを確認しながら切り替えをおこなってください。

第1段階
シードにペレットの粉を振り掛ける。
第2段階
粉に加え小さ目のペレットを少しシード餌に混ぜる。
第3段階
鳥がペレットを砕く(食べていなくても)ならば、昼間ペレットだけにし、夜に寝る前だけ、シードを腹いっぱい食べさせる。
第4段階
昼間、ペレットを食べていることが確認できたら(砕いて粉になっており、フンをきちんとしている)、夜のシードを徐々に減らしてペレットを多く入れる。1ヶ月を掛けるぐらいで最終的にペレットオンリーにする。
第5段階
完全にペレットを主食として完全に定着させたら(切り替え後1ヶ月以上経過)、寝る前のおやつとしてシードを少し与えても良い。あげ過ぎると逆戻りしてしまうので注意する。野菜や果物は多くても良いが、水気の多いものは夜食には向かない。鳥は寝る前に一番栄養のあるものを摂取するのが自然の姿である。

たいていこの方法で切り替わります。ペレットにも種類がありますから、いろいろ入れて好みに合うものを最終的な主食として採用してあげましょう。またラウディブッシュ社のものならば、相当大きなオオバタンクラスでも「スモール」のほうが食べやすいようです。
どうしてもペレットを受け入れない場合はハイペット社の「プラスアルファー」(3色のペレット状のもの)を適宜まぜるとペレット状のものに興味を持って食べるようになることはあります。「プラスアルファー」は大変嗜好性の高いものだからです。

さらに一つの方法は差し餌からやりなおす方法です。フォーミュラー3を固めの団子状にして与えます。これはたいていのコが好みますから、次第にこれにペレットの粉末をまぜていき、含有量を増やしていきます。ペレット粉の比率が高まったならば、やがて団子と粉砕したペレット(クランブルとして売られています)を混ぜ、ペレットの比率をさらに高めていき最終的に切り替えます。差し餌から一人餌への切り替えのときと同様の方法です。2週間くらいで切り替わるでしょう。この方法は高脂肪高タンパクなので長期間連続してはいけません。またシード併用をしてはいけません。かなりの強硬手段ですが効果的です。

これと類似のもう一つの方法は、甘い「ローリーネクター」(果食鳥用のパウダーフード)を使う方法です。
まずローリーネクターを食べさせます。甘いのでこれは多くの鳥が好みます。2日目にローリーネクターとフォーミュラー3を当分に入れます。3日目、フォーミュラーパウダーのもにします。4日目、パウダーにペレットを混ぜます。しばらくこれを続け、7日目ぐらいで完全にペレットのみにします。かなりスムーズに切り替わる方法です。

本場アメリカではラフィーバー社の「アビケーキ」というペレットとシードの混じった「おこし」みたいなものが販売されており、これを切り替え途中に使用しているようです。最近日本でも「ナッツンナゲット」という、ペレットの「おこし」を売り出しました。早速試してみました。

Nuts'N'Nugeetsを利用したペレットへの切り替え

ラフィーバー社から最近輸入され始めた新製品「ナッツンナゲット」は、従来同社が販売していたシードの「おこし」である「ニュトリベリー」のペレットバージョンです。オヤツ感覚で口にしているうちに、すっかりペレットに慣れてしまうという優れものですが、さっそく我が家の鳥に与えてみたところ、ペレット嫌いのポーちゃん(ヨウム)も、新しもの嫌いのエリちゃん(キエリボウシ)も喜んで食べたのには驚きました。ペレットへの切り替えがこれでスムーズになるかもしれません。ただし着色されているのが残念です。

ナッツンナゲット ペレットの「おこし」状態 ポーちゃんも大好き エリちゃんも御満悦

ズプリーム社「パロットクランチ」

ペレットメーカー各社では「おやつ」として、また切り替えの動機付けとして、さまざまなビスケットを用意しています。このズプリーム社のものは、同社ペレットの原材料とほぼ同じもの(タンパク質20%、脂質5.0%と、少しおいしさをアップしています)に、鳥たちが好むトウガラシ味やピーナッツ味をつけています。これをおやつとして食べるうちに、ペレットにもスムーズに切り替わるでしょう。切り替わった後も健康的なコミュニケーションおやつとして、こうした鳥用ビスケットはとても重宝するものです。

トウガラシ味 ピーナツ味

ペレットとシードの併用

両方の利点を得ると言う意味で、両方を併用したり混合したりして与える方法があります。鳥が両方ともおいしく食べるようならば問題なく理想的なのですが、やはり脂肪分の多いシードばかりを食べて、ペレットはばらまくのみ、ということがよくあります。
シードはたいてい常時受け付けますから、主食をペレットにして、おやつや副食としてシードを適量与えるのが最善の方法かも知れません。逆はなかなか困難だと思います。ペレット主食で副食(シード類・野菜・果物など)を豪華にする、うちの場合はその方針で与えています。ペレットも複数社製品を混ぜて選択の喜びを与えています(メーカーは「バランスが崩れる」と言ってこの方法を否定しますが、そこまで微妙なバランスを保っているとは考えられません)。ペレットでも「ばっかり食い」はなにか恐いですから。

ヒマワリの種子 麻の実(オノミ) サフラワー(紅花) ソバの実 小麦 燕麦(オーツ)


ペレット飼料のいろいろ

ケイティー社
エグザクトオーガニック
有機栽培された原料のみを使用。殺虫剤などの化学薬品は製造工程に一切使われておりません保存料、着色料や甘味料などの人工添加物も一切不使用
ケイティー社
エグザクトオリジナル
フィンチ、小型・中型・大型インコと、鳥種によって成分の配合を変えているのが最大の特徴
ラウディブッシュ社
メンテナンス
日本でもっともポピュラーなペレットで、各地のペットショップで入手できる。
メンテナンスタイプは年間を通しての常用食、または繁殖用の鳥の繁殖期以外の期間に適しています。
ラフィーバー社
プレミアムペレット
古くから輸入されてきた信頼のナチュラルペレット。大型インコは握って食べやすい
ズプリーム社
メンテナンス・ナチュラル
高温高圧で製造するエクトルーデットタイプ。BTA・BHAなどの人工保存料不使用
ズプリーム社
フルーツブレンド
色や形がさまざまで、鳥に選択の喜びをもたらす
Scenic社のペレット
パラダイスミックス
オカメからコニュア、
ローリーからキュウカンチョウまでと書かれています。
ヒギンズ社
ヴィタクランチ
色形さまざま。合成保存料無添加、天然オレンジフレーバーで防虫
ケイティー社
レインボータイプ
色と形さまざま
ラウディブッシュ社
もっとも一般的な
ペレットの代名詞
ラウディブッシュ社
左がスモール
右がミニ。小さい方が
こぼすロスが少ない
ヘーゲン社
トロピカン
錠剤型ペレット
色素は天然の物
アメリカで人気のオーガニックペレットハリソン社製品特殊ルートでしか輸入されていない生鮮品で保存が利かない 左はハリソンのオカメサイズ用のペレット
これでロスが減ります
ズプリーム社のペレット
フルーツブレンド
大型インコ用
かなりすごい色と香り
ズプリーム社
これはメンテナンス・ナチュラルです。見かけは寂しい

各社ペレットの成分と原材料(メーカー表示による)

現在東京近郊で入手できる製品と獣医師ルートでしか入手できない1社製品の成分と原材料はメーカー表示によると以下のとおりです。(単位:%)

蛋白質 脂肪分 繊維質
水分
原材料(順不同)

ラウディブッシュ
(Roudybush)
メンテナンス



11.0 7.0 3.5 12.0 挽き割りとうもろこし、挽き割り小麦、ピーナッツミール、大豆油、大豆ミール、炭酸カルシウム、ソディアムリグニンスルフォネイト、第二リン酸カルシウム、塩、L-リジン、 塩酸塩、DLメチオニン、 酵母菌細胞壁エキス、ナイアシン、ミックストコフェロール、ローズマリーエキス、アスコルビン酸、 クエン酸、レシチン、二酸化珪素、アルファトコフェロールアセテート(ビタミンE)、アスコルビン酸、マンガン硫酸塩、ユッカエキス、ビオチン、 パントテン酸カルシウム、亜鉛酸化物、リボフラビン、ピリドキシン塩酸塩、ビタミンAアセテート、硝酸チアミン、メナドニンソディアムビスルファイトコンプレックス(ビタミンK)、 二ヨウ素水素酸エチレンジアミン、ビタミンD3、葉酸、 シアノコバラミン(ビタミンB12)、セレン酸ナトリウム、 プロピオン酸、水酸化アンモニウム、酢酸、ソルビン酸、酒石酸、ナチュラルアップルフレーバー

カルシウム0.4% ビタミンD3 800ICU ビタミンA 7875IU 代謝エネルギー 3430(kcal/kg)
ラフィーバー
(Lafeber)
14.0 4.0 2.0 10.5 粉とうもろこし、小麦、オート麦、挽き割り大豆、サトウキビの糖蜜、乾燥自然卵、挽き割りトウモロコシグルテン、第二リン酸カルシウム、粉石灰石、ヨー素塩、DLメチオニン(必須アミノ酸)、L-リジン(必須アミノ酸)、コリン塩化物、亜鉛酸化物、マンガン酸化物、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、エトキシキン(保存料)、アスコルビン酸、メナジオン亜硫酸水素ナトリウム (ビタミンK)、ナイアシン、カルシウムパントテン酸塩、リボフラビン、チアミンモノナイトレイト、ピリドキシン塩酸塩、ビタミンB12群、葉酸、ビオチン
ジーグラー
(Zeigler)
12.0 4.0 4.5 10.0 挽き小麦、挽きコーン、大豆粉、良質穀物、コーングルテン、砂糖、レシチン、高グルテン小麦粉、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、L−リジン、濃縮魚成分、ドライイースト、プロピオン酸コリン、果糖、DL−メチオニン、二酸化マンガン、塩化コリン、ナイアシン、亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸銅、炭酸コバルト、カリウム、ビタミンE、ビタミンA、ビオチン、ビタミンK、ビタミンB2、ビタミンD3、ビタミンB1、ビタミンB12、ビタミンB6、葉酸、Canthaxanthin(?)、セレン化ナトリウム、人工香料、ビタミンC
ヘーゲン
(Hagen)
14.0 9.0 4.5
8.0
挽きコーン、挽き小麦、カラス麦、大豆、米粉、植物油、コーングルテン、ヒマワリ、落花生、炭酸カルシウム、カロチン、リン酸二カルシウム、L−リジン、DL-メチオニン、ビタミンAアセテート、塩、ビタミンD3、ビタミンE、トコフェロール、ビタミンK、塩化コリン、Dパントテン酸カルシウム、ビオチン、Dパントテン酸カルシウム、塩酸ピリドキシン、リボフラビン、葉酸、ナイアシン、モノ硝酸チアミン、ビタミンB12、アスコルビン酸
ケイティー
(Kaytee)
エグザクト・オリジナル
(パロット用)
15.0 6.0 5.0 12.0 ケイティー社のペレットは対象鳥種によって配合・栄養成分を変えています。以下はパロット用です。

粉とうもろこし、粉小麦、挽き割りオート麦、飼料用小麦、挽き割りトウモロコシグルテン、乾燥全卵、乾燥ビートパルプ、飼料大豆、大豆油、コーンシュガー、第二リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、挽き割り小麦胚、乾燥さとうきび、L-リジン、塩、ビタミンA、コリン塩化物、乾燥醸造用イースト、DLメチオニン、ユッカエキス、プロピオン酸(保存料)、ビタミンE、ビタミンB12、リボフランビン、混合トコフェロール(保存料)、亜鉛酸化物、炭化鉄、ローズマリーエッセンス、クエン酸、マンガン酸化物、メナジオン亜硫酸水素ナトリウム (ビタミンK)、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、酸化銅、硝酸チアミン、ピリドキシン塩酸塩、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ベータカロチン、カンタサンチン、葉酸、ヨウ素酸カルシウム、ビオチン、コバルト炭酸塩、セレン酸ナトリウム、乾燥バチルスコアグランス発酵生成物、乾燥バチルスリケニフォルミス発酵生成物、乾燥バチルスサブチリス発酵生成物、天然風味
以上の平均値
13.2
6.0
3.9
10.5
メーカーによって添加栄養剤の内容が違うことがわかります。
ハリソン
(Harrison)
パワートリーツ
高脂肪タイプ
19.0 15.0 4.0 10.0 挽き黄色コーン、挽き脱穀大麦、挽き落花生、挽き煎り大豆、挽きむきヒマワリ、挽きレンズ豆、挽きオーツ麦、挽き天日乾燥アルファルファ、粉末卵白、低精白蔗糖、炭酸カルシウム、挽き乾燥海藻、Montmorillonite土、ビタミンE、海水塩、スピルリナ、ビタミンA、ビタミンD3、ナイアシン、ビタミンB12、ビタミンB2、パントテン酸カルシウム、ビタミンK、ビタミンB6、ビオチン、チアミン鉄、セレン化ナトリウム
ハリソン
アダルト
ライフタイム
低脂肪タイプ
14.0 5.0 4.5 10.0 上記のうち、粉末卵白、低精白蔗糖、が含まれず、挽き脱穀ミレット(ヒエかアワ)、挽き米、Mucopolysaccharide繊維、が加わります。緑黄色野菜以外の他の栄養剤は不要と明記。
ズプリーム
(ZuPreem)
ナチュラル
タイプ
14.0 4.0 2.5 10.0 粉とうもろこし、大豆ミール、挽き割り小麦、サクロース、挽き割り小麦胚、ベジタブルオイル、第二リン酸カルシウム、炭化カルシウム、ヨー素塩、DLメチオニン、コリン塩化物、アスコルビン酸塩(ビタミンC)、硫酸鉄、亜鉛酸化物、硫酸銅、マンガン酸化物、カルシウムヨー素酸塩、セレン酸ナトリウム、ビタミン群(A, E, D3, B12)、チアミン、ナイアシン、カルシウムパントテン酸塩、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、葉酸、ビオチン
ヒギンズ
(Higgins)
ヴィタクランチ
大型インコ用
14.0 4.0 5.0 10.0 とうもろこし、挽き割り大豆粉, ひき割りトウモロコシグルテン、挽き割り飼料用コーン、テンサイの果肉、乾燥アルファアルファ粉、サクロース、大豆油、第二リン酸カルシウム、炭化カルシウム、リンゴの繊維、塩、乾燥卵、L-リジン、ビタミンC2 ポリ燐酸、プロピオン酸、コリン塩化物、亜鉛酸化物、硫酸鉄、マンガン酸化物、ニコチン酸、d-カルシウムパントテン酸塩、硫酸銅、メナジオン亜硫酸水素ナトリウム (ビタミンK)、リボフランビン、硝酸チアミン、二ヨウ素水素酸エチレンジアミン、ナトリウム亜セレン酸塩、ビオチン、葉酸、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、レチネルパルミナイト(ビタミンA)、D活性剤動物ステロール(ビタミンD3)、dl-アルファトコフェロール酢酸塩(ビタミンE)、ナチュラルフルーツ味、ナチュラルカラー、FD&Cカラー(米国食品医薬品局 (FDA) 認可食品・医薬品・化粧品用着色料)
ハイペット
オウム用
バランスフード
(国産)
15.5 6.5 2.0 9.0 とうもろこし、きな粉、小麦粉、鮒粉、ヨークプロテイン、ソイプロテイン、ストロベリー、粉ミルク(乳糖分解処理及び蛋白質はソフトカード化された原料を使用)、アルファルファミール、カルシウム(0.95%)、リン(0.47%)、その他ミネラル(Mg,K,Na,Cl,Fe,Cu,Zn,Mn,I,Se)、ビタミンA(18150IU/Kg)、D3(4500IU/Kg)、その他ビタミン(E、K、チアミン、リボフラビン、パントテン酸、ニコチン酸、B6、ビオチン、コリン、葉酸、B12)


ハリソン社ペレットの入手法(2000.2)

ハリソン社のオーガニック材料のペレットはアメリカで多くの支持を得ているものですが、基本的に獣医師の処方食です。このため一般のショップで入手できないのが残念ですが、また獣医師経由ということで安心できるとも言えるでしょう。
 これを入手するには、かかりつけの動物病院にご相談され、開業獣医師経由でペットケアニューフーズ(PCNF・ラウディブッシュ輸入会社)まで連絡手配していただくことになります。現状ではこの方法が最も確実でしょう(個人的に在米の知人に依頼するなどは別です)。賞味期限が短いので常に新鮮なペレットをとりよせる必要があるのです。

各社ペレットの賞味期限の見方

会社名 表記場所 表記例 意味
ズプリーム 商品背面下部にシール貼付 RE 15 2003年5月15日 英字頭1桁:年 Q=2002、R=2003、S=2004
英字頭2桁:月 A=1月 B=2月・・・L=12月
ラウディブッシュ 背面上部 H14・11・D 平成14年8月 表記は製造年月日です。
パックが日本国内なので和暦表記です。
ケイティ 缶タイプは底、袋入りは背面下部 12/SPT/03 2003年9月12日 BEST BEFORE
日/月/年
ラフィーバ プラバケツはふたの表面
袋入りは背面下部
04/15/04 2004年4月15日 BEST BEFORE
月/日/年
ヒギンズ 背面下部 11/03/04 2004年11月3日 月/日/年

一般的なシード(主食)の栄養成分 (可食部100gに対して)

熱量 蛋白質 脂質 糖質 水分 Ca Fe Na Mg Zn V.A V.B1 V.B2 リジン メチオ
ニン
Kcal mg mg mg mg mg mg μg IU mg mg mg mg
ヒマワリ 611 19.9 56.4 14.4 3.7 95 540 5.0 2 510 - - 0 2.10 0.24 420 520
ベニバナ 517 16.2 38.5 5.6 78 644 4.9 3 687 353 5050 50 1.16 0.42 534 284
麻の実 463 29.5 27.9 9.2 5.9 130 1100 131 2 140 390 6000 11 0.35 0.19 - -
エゴマ 544 17.7 43.4 15.2 5.6 390 550 16.4 2 590 - - 0 0.54 0.29 - -
燕麦 317 13.0 6.2 54.7 12.5 55 320 4.6 4 520 120 2500 0 0.30 0.10 610 260
大麦 339 10.0 2.8 66.9 14.0 40 320 4.5 3 480 - - 0 0.50 0.09 210 98
小麦 333 10.5 3.0 69.3 13.5 24 350 3.1 2 460 80 2500 0 0.41 0.10 140 100
ソバ 300 10.8 2.8 61.0 14.5 42 330 3.1 2 470 190 2400 0 0.32 0.12 700 230
乾燥トウモロコシ 350 8.6 5.0 68.6 14.5 5 290 2.3 3 290 75 1700 100 0.30 0.10 150 210
アワ 307 9.9 3.7 63.5 13.0 21 240 5.0 4 500 110 2500 0 0.40 0.10 210 360
ヒエ 311 9.3 4.8 61.3 13.0 33 330 3.5 2 380 40 1900 0 0.40 0.10 - -
落花生(いり) 587 26.6 49.5 16.7 1.9 50 380 5.0 2 510 200 3000 0 0.23 0.10 1000 310
ペレット(R) 343 11.0 7.0 - - - - - - - - - - - - - -
(「−」は調査対象とならなかったことを意味します。:女子栄養大学「四訂食品成分表1997」より。
ベニバナのデータはアメリカ合衆国農務省による。)

この比較を見るだけでも、ヒマワリや麻の実だけではペレットと比較して脂肪分が多すぎることがわかります。またシード類は意外に無機質やアミノ酸を多く含有していますが、ビタミンAが不足していることがはっきりします。これを補うのが「副食」です。
栄養成分表は便利ですが検索には苦労します。アメリカ合衆国農商務省のHPコチラが便利です。品名称を入力すれば、直ちに詳しい成分を教えてくれるありがたいシステムです。入力要求は日本語ですが、入力する食品名は英語でなくてはなりません。また当然結果も英語です。日本国科学技術庁も、ぜひ日本語版を作って欲しいものです。
なお表示に「粗タンパク」「粗繊維」などと表記されている場合があります。この「粗」というのは粗末と言う意味ではなく、「体内で純粋な形(粗繊維ならばセルロース)に分解利用される前に食物の中に含有される同質類の総量のこと」です。「繊維質」の「質」と同じ意味だと考えてください。

糖質表示がされていない?

食品の成分表示は、最近かなり詳細に記されるようになりましたが、蛋白・脂質・繊維・水分・灰分の表示があれば、100からこれを差し引いたものが糖質と考えてほぼ間違いありません。なお「炭水化物」は糖質と繊維の合計です。

必要なエネルギー

動物が生命を維持し、活動するにはエネルギーが必要です。運動を伴わずに単に生命の維持に必要なエネルギー量は「基礎代謝量」と呼ばれます。これにさらに活動に必要なエネルギーが加算され、1日の必要エネルギーが算出されます。
まずエネルギーの基礎用語を説明しますと

粗(総)エネルギー:GE
摂取した飼料が持つカロリーすべて
可消化エネルギー:DE
粗エネルギーからフンに出てしまうエネルギーを差し引いたもの
代謝エネルギー:ME
可消化エネルギーから尿に出てしまうエネルギーを差し引いたもの
正味エネルギー:NE
代謝エネルギーから栄養素の代謝熱を差し引いたもの

このうち一般的には「代謝エネルギー(ME)」が摂取した飼料から鳥が使うエネルギーの基本値と考えられています。
それではインコたちが1日にどれだけのエネルギーを消費するかと言うことになりますが、これが何ら研究されていません。鳥類ということでは産業用動物としての家禽(鶏・ウズラ・アヒル)の数値が分かっているだけです。ですからこれを参考のために表示しますが、インコとは違うと言うことを前提に考えてください。また成長期のヒナは、さらに成長に関わるエネルギーが加算されます。また気温によっても変ってきます。(参考:日本飼料標準・家禽:中央畜産会1997)

*産卵していない雌鶏の必要エネルギー
基礎正味エネルギー量(NEm)=83×体重(kg)の0.75乗
基礎代謝エネルギー量(MEm)=NEm/0.82
ケージ飼育の活動エネルギー量(MEactivity)=MEmの37%
必要な総ME量=MEm+MEactivity

この数値から鳥の体重1kgあたりの総ME量を単純に計算すると、101+37=138Kcalです。
これをさらに単純に割り算すると体重別総ME量は次のようになります。

100gの鳥:13.8Kcal、300gの鳥:41.4Kcal、500gの鳥:69.0Kcal、700gの鳥:96.6Kcal

さらに鳥にとっての適温を22℃とすると、次の補正値を乗じます。
(−0.081×(22−気温)の自乗+2×(22−気温)+94)/94

たとえば冬季10℃の場合は1.13を適正値に乗じ、夏季30℃の場合は0.77を乗じます。
これにより100gの鳥は
冬季15.6Kcal、夏季10.6Kcal、500gの鳥は冬季78.0Kcal、夏季53Kcal
となります。ラウディブッシュのペレットの代謝エネルギーは100gで343Kcalですから、
500gのヨウムの場合は通常期69.0/343×100=20.1gで良いことになります。
これは「スモール」の場合、大さじ2杯に相当します。案外と少ないものです。
ただしペレットの場合はこぼす量が多いので、歩留まりを考えて1.5倍(大さじ3杯)の給餌が必要でしょう。
一方ヒマワリ可食部のエネルギーは100gで611Kcalですから、
同じ500gの鳥の場合、69.0/611×100=11.3gです。
これ以上摂取するとそれは余剰エネルギーとなって脂肪として蓄積される、つまり肥満になるのです。また、カロリーはわずか11.3gでことたりるとしても、それだけで必要な蛋白質・ビタミン・ミネラルが摂取できているのか疑問です。こうしたことから、バランス食であるペレットの優位が想像されます。

スプラウテッド・シード(sprouted seeds)

種子・豆類の栄養価を高め、柔らかくして消化吸収力を高めることを目的に、スプラウテッド・シード(発芽種子)が欧米ではよく利用されます。この場合、水に浸してから24〜48時間のうちに小さな芽が見えるまでのうちならば、インコたちはおいしく食べます。発芽過程で内胚乳に存在する脂肪が炭水化物に変化するからと言われています。それ以後の完全に発芽した芽は食べなくなってしまうようです。長所も多いのですが、水に浸している段階で細菌や真菌(カビ)の成長を促進してしまうという大きな欠点があります。抗真菌剤を添加した培養液を用いてでも真菌の発生が見られると言われます。十分衛生に気を使う必要があります。

「死に餌」の酸化の危険

元来、種子の生命力は強く、加工されていなければ非常に長持ちします。2千年前の遺跡から発見され、見事に発芽生育し、花を咲かせた「大賀ハス」は有名ですが、生きている種子の生命力はとても長いものです。ところで熱加工餌は「死に餌」と呼ばれていることは別項目でも説明しました。麻の実は麻薬取締法の関係で不発芽処理されていますし、また落花生(ピーナッツ)もほとんどが煎り加工されています。
ご存知のように、こうした脂肪分が多い種子は、加工され生命力を失った途端に酸化します。酸化した脂肪は恐ろしい毒になります。「油症」と呼ばれて人間にも害を及ぼすぐらいですから、体の小さな鳥には極めて危険です。まず消化器に障害が出て腸炎などを起こします。こうしたことのないように、これら「死に餌」は新鮮さが命ですから必ず人間の食用のものを求め、速いうちに使い切ってしまいましょう。

危険なオヤツ?の栄養価

ちなみに「与えてはいけない」とされる人間の食べ物の成分もみてみましょう。

熱量 蛋白質 脂質 糖質 水分 Ca Fe Na Mg Zn V.A V.B2 V.C リジン メチオニン 食塩換算
食パン 260 8.4 3.8 48.0 38.0 36 70 1.0 520 95 20 750 0 0.07 0 220 150 1.3g
スナック揚菓子 522 4.9 28.6 60.1 2.5 18 110 2.3 410 890 - - 0 0.19 4 - - 1.0g
ポテトチップ 555 4.7 35.0 52.6 2.5 17 100 1.7 400 1200 70 530 0 0.06 15 - - 1.0g
カステラ 316 6.8 5.1 60.8 26.9 29 110 0.9 55 75 - - 270 0.04 0 - - 0.1g
プロセスチーズ 339 22.7 26.0 1.3 45.1 630 730 0.3 1100 60 19 3200 1200 0.53 0 1900 580 2.8g

圧倒的にナトリウムが多いのは塩分のせいです。やはり人間の食べ物は害がありそうですね。

副食

上記の成分分析を見ればわかるように、シードを主食にした場合は、ビタミン類が決定的に不足するので、補助食を積極的に摂取させなければなりません。
副食には緑黄色野菜や果物が最適です。トウガラシなどは意外ですが、その抜群の栄養価ゆえに古くから利用されています。
なお、鳥は寝る前に一番多くカロリーを摂取します。水分の多い果物などは夜は避け、朝に与えるのが良いでしょう。
野菜や果物はたいてい好み、安全ですが、野菜ではゴボウ・キノコ類は避けましょう。また果物では、アボカドは致命的に危険ですが、それ以外にアンズ・梅なども避けたほうが無難です。梨は独特のシャリシャリした食感がありますが、これは梨の果肉の細胞が「石細胞(せきさいぼう)」と呼ばれる硬質のものであるからです。獣医師の中にはこの石細胞の堅さが鳥の消化器官に悪影響を及ぼすとおっしゃる方もいます。また石細胞はタンニンや結晶が多いので、これも問題にする先生もいらっしゃいます。石細胞のある果物は他にカリンなどです。リンゴの種子、桃やスモモの種の中の仁は毒です。また大豆(エダマメ)は必ず加熱処理したものを与えます。生大豆は蛋白質の吸収を妨げ、消化器や赤血球に異常を生じさせ、甲状腺のチロキシン合成を妨げると言われています。
野菜で最も好ましいのはコマツナです。ぜひ自家栽培の無農薬のものを与えてください。また、乾燥牧草も喜んで食べますが、栄養価の面で言えばアメリカから輸入される「天日乾燥アルファルファミール」です。これは蛋白質14%、脂肪2%、繊維28%、灰分(ミネラル等)8.5%を含有。またプロビタミンAも豊富で、特に腸管の長いオオハナインコには与えたい飼料です。アルファルファもやしは簡単に水栽培できますので、挑戦してみるのも良いでしょう。
乾燥青菜としては人間用の「大根葉フリーズドライ」を好んで食べますし、東京飯塚農産の「プラスグリンフード」も鳥が好んで食べますが、これはパン粉に葉緑素と色素、甘み原料をまぶしたものです。天然自然の無農薬コマツナがあれば、それが一番であることは当然です。ただし「ばっかり食い」は栄養の偏りや特定の成分の蓄積による毒性などが心配です。カボチャやニンジンなどの緑黄色野菜を日替わりであげましょう。ハクサイやレタスのような白色野菜は栄養価が低く水分が多いので、栄養源としては望ましいものではありません。

蛋白質 脂肪分 繊維質 水 分 Ca Fe Na V.A V.B1 V.B2 ナイア
シン
V.C V.K
カボチャ(生) 1.3 0.1 1.0 88.9 17 0.4 1 330 340 0.07 0.06 0.6 15 40
エダマメ(ゆで) 11.4 6.6 1.9 71.1 70 1.7 1 570 55 0.27 0.14 1.0 27 41
コマツナ(生) 2.6 0.2 0.8 91.9 290 3.0 32 420 1800 0.09 0.22 1.0 75 290
チンゲンサイ(生) 1.5 0.1 0.6 95.2 130 1.1 40 320 830 0.04 0.09 0.4 29 120
オカヒジキ 2.3 0.2 0.9 91.9 160 1.4 60 730 1700 0.06 0.14 0.5 44 800
ナバナ 4.1 0.2 1.1 89.2 150 2.7 15 360 1600 0.15 0.26 1.2 120 220
トウガラシ(乾燥) 14.0 11.4 32.6 13.3 70 1.5 16 2700 11000 0.50 1.30 13.0 100 -
にんじん(生) 1.2 0.2 1.0 90.4 39 0.8 26 2400 4100 0.07 0.05 0.9 6 4
ブロッコリー(生) 5.9 0.1 1.1 84.9 49 1.9 6 530 400 0.12 0.27 1.2 160 230
ピーマン(生) 0.9 0.1 0.8 93.5 10 0.6 2 200 150 0.04 0.04 0.6 80 20
イチゴ 0.9 0.2 0.8 90.1 17 0.4 1 200 0 0.07 0.03 0.3 80 -
バナナ 1.1 0.1 0.3 75.0 4 0.3 1 390 15 0.04 0.04 0.6 10 -
リンゴ 0.2 0.1 0.5 85.8 3 0.1 1 110 0 0.01 0.01 0.1 3 -
ゆで卵(黄身) 15.4 32.2 49.9 140 4.7 36 95 1800 0.18 0.40 0.0 0 31
鶏肉(ささ身) 24.0 0.7 74.0 8 0.6 40 280 30 0.09 0.12 11.0 0 26

(V.Kはμg)

なお、与える野菜に農薬が残っていることのないように十分注意してください。バナナなどもポストハーベスト(収穫後農薬処理)などがなされていないものを選んであげましょう。コマツナなどは自家栽培すると安全です。
ちなみに動物性タンパク質の補給に使われる九官鳥用の餌(日本ペットフードの「Q−chan」)の栄養素と材料は次のとおりです。
この「緑色のビタワン」みたいなのをお湯でふやかして3日に1度くらい、3〜4粒与えます。落としたらすぐに捨てます。あっという間に腐敗するのでご注意を!(なお、鳥に動物性タンパク質を与えることには賛否両論があります。)

蛋白質 脂肪 繊維 灰分 原材料および強化含有成分
30% 4% 4% 9% 小麦粉、肉粉、脱脂大豆、ふすま、トウモロコシ、ミートボーン(牛骨)ミール、チキンミール、酵母、リーフミール、食塩、ビタミン(A,D3,E,B1,B2,B6,B12)、パントテン酸、コリン、ナイアシン、カルシウム、リン、鉄、銅、コバルト、メチオニン、リジン

ホウレンソウは毒?

飼育書によって「ホウレンソウやフダン草はよくないので与えてはいけません」と記載されています。その根拠はこれらの野菜に「蓚酸(シュウサン)」が含まれていて、これがカルシウムと結びついて「蓚酸カルシウム」を形成してしまうことです。それにより、骨へのカルシウム沈着が阻害され、骨格の健全な形成がなされないというものです。
 しかし実際の蓚酸含有量はそれほど多くはありませんし、最近では蓚酸の少ない「サラダホウレンソウ」も販売されていますから、あえて敬遠する必要はありません。少なくとも毒でないことは確かです。
 けれども万が一を考えると、成長期のヒナや若鳥には避けておいたほうが無難であることは確かです。さらに蓚酸カルシウムは結石の原因となりますので、やはり避けたほうが良いようです。なにより、ホウレンソウよりも栄養価の高いコマツナを鳥たちが好むことを考えると、あえてホウレンソウを与える必要はないとも思います。またホウレンソウのようなアクの強い野菜を鳥たちはあまり好みません。同様の理由でクレソンやからし菜などもやめておきましょう。

主食・副食混合飼料

主食も副食(野菜・果物・ミネラルなど)を混合した飼料も各種販売されています。価格的には高価ですし、鳥がより好みする傾向はありますが、便利なものであることは間違いありません。
例えば次のようなものがあります。

商品名 蛋白質 脂肪 繊維 水分 原材料
スドー
「オウムのミックス」
(L&M)
18% 9.5% 12% 12% コーン、ヒマワリ、サフラワー、小麦、カボチャ、落花生、カラス麦、コーンフレーク、ソバ、ダークレーズン、スイカ、ニンジン、アーモンド、パパイヤ、バナナ、パイナップル、ココナッツ、ピスタチオ、トウガラシ、松の実、リンゴ、卵殻、ボレー粉、大豆、アルファルファ、ぶどう糖、炭酸カルシウム、ヨウ酸カルシウム、小麦胚芽油、植物油、タラ肝油、天然香料、人工香料、人工着色料他
トリオコーポレーション
オウムグルメミックス
(ヘーゲン)
13% 12% 4% 9% 上記ヘーゲンペレットに加え、各種ナッツ、乾燥野菜、乾燥フルーツ

カルシウム・ミネラル補助飼料

カルシウムやミネラルの補給おやつは、オモチャにもなるものですから、一挙両得のものですから、ぜひ与えましょう。よくあるのはコウイカの甲羅を乾燥させた「カットルボーン」や鳩用の「塩土」、ミネラルブロック、ボレー粉、焼き砂などです。
 この中で海産物のカットルボーンとボレー(牡蠣)粉は、ヨードを含み、甲状腺機能にも良い作用を及ぼしますので優れた補助食品?と言えます。ただし海産物はカビが生えやすいので、商品の回転の良いショップで購入しましょう。またボレー粉は色など着いていない白いものを選び、よく水洗いしてから天日干しして殺菌防カビを図ります。洗うことはボレー粉に付着している海水中の有機リン化合物を洗浄処理する意味もあります。
 洗ったボレー粉はとても美しい「貝の粉なんだなー」と実感できるものになるでしょう。なお、筋胃に貯めて消化の補助をする「グリット」としては、ボレー粉のようにすぐに分解されてしまうようなものは役に立ちません。インコにグリットが必要かどうかは両論ありますが、与える場合は焼き砂などの分解されにくい鉱物飼料をあげる必要があります。
 ミネラルブロックは色付き香りつきのものが多いのが気になります。ブドウやバナナの形をして色がその色、香りもその香りなのは楽しいですが、白いものがあればそれに越したことはありませんが、日本ではあまり目にしていません。また、大型インコは一瞬にして砕いてしまうので、消耗品と考えなければいけませんので、高価なものは不経済です。
 いずれにしても、カルシウムを摂取してもビタミンD3がなければ吸収されませんので注意してください。次の「栄養剤」の項目を参照してください。

塩土について

塩土は主に鳩のために使われてきたミネラル補給飼料です。赤土と食塩、ボレー粉などを練って固めたもので、インコの健康にも良い(ミネラルの摂取と筋胃に貯えるグリットが確保できる)と多くの飼育書で勧められています。ところが塩土には賛否両論があります。塩分が体に悪いとか、凝固剤が良くないであるとか、細菌やカビの温床など、最近評判があまり芳しくありません。確かに(舐めてみたところ)かなり塩分があるようなので、他のもので補えるのであれば塩土は避けた方が無難かもしれません。成分や原材料を明記していないものがほとんどですから、これも信頼を損ねる原因になっています。しかし確実にミネラルを摂取できるものとして、現在では最も便利なものであることも間違いありません。
塩土については現在研究中ですので、ある程度まとまり次第ここでお知らせしたいと思います。

3製品、違いが鮮明 レンガ色で粒子が粗い 白味が強く細かい

一応、現時点での選択の目安としては、

(1)できるだけ赤いもの
(2)見た感じが粒子が粗くボロボロしてい ること
(3)舐めてみてあまり塩分を感じないもの

が言えるでしょう。(1)は石膏(硫酸カルシウム)が含まれていないものを、ということです。石膏が入っているとどうしても白っぽくなります。石膏はこの場合は成分というよりも凝固結着剤として混入されるもので、石膏分が多いと流通段階で壊れる確率が減るので多用されます。ところが石膏が多いと非常に堅くなって鳥がかじっても角をガリガリやるぐらいで放置され、その後はフンが付き放題、カビの温床にもなってしまいます。(2)でボロボロしたものを選びましょうというのも同じ理由です。写真にあるレンガ色のものは、さわっていじるだけでボロボロ崩れてきます。(3)の塩分については塩分そのものが腎臓に与える悪影響もさることながら、喉が渇いて水を飲み過ぎて下痢・多尿の原因になりやすいのです。石膏自体は無毒です。

こうして選んだ塩土を使うときの注意事項としては、
(1)週に1〜2日入れる程度で十分
(2)一度に全部入れると長期間放置、汚染の原因になるので4つに割って容器に入れる
(3)入れる前に必ず電子レンジで4〜5分加熱して殺菌、冷めてから入れる
(4)フンが落ちたり水がかかる場所には置かない
(5)様子を見て食べ過ぎや無視などがあれば適宜取り出す
ということでしょう。

KAYTEE社のミネラルブロック

アメリカから輸入されているミネラルブロックです。「ミネラルトリート」には野菜タイプとフルーツタイプがあり、これをケージに取り付けて鳥がかじって摂取します。ケージ壁面に付けるので汚損しにくいのがメリットです。これはカルシウムの摂取とクチバシのコンディショナーにもなっています。「ビークコンディショナー」は文字どおりクチバシの尖りを研磨する目的の溶岩ブロックです。溶岩を砕いて嗜好性を高めるためにピーナツなどを加えて固めたものです。摂取の過剰は禁物と明記されています。

主原料:硫酸カルシウム、乾燥ニンジン、
乾燥サツマイモ、乾燥ホウレンソウ、
塩化ナトリウム、ビタミンD3、白キビ
各種ミネラル類

成分:蛋白質1.0%、脂肪0.1%、
繊維1.0%、水分10.0%
カルシウム20.0〜24.0%、
リン0.01%、塩分0.2〜0.5%
さすがアメリカには
様々な製品があります。
香料・着色料が
ちょっと気になります。
溶岩はさっそく
ハナちゃんがガリガリと
はじめました。
主原料:溶岩、ピーナツ、硫酸カルシウム、
カリウムアルギナート、燐酸ナトリウム

成分:蛋白質0.5%、脂肪0.5%、
繊維0.5%、水分10.0%、
カルシウム0.3〜0.8%、
リン0.01%

カルシウムとリンの適正比率

飼料名称 Ca 比率 * 飼料名称 Ca 比率
100g中 mg mg Ca/P * 100g中 mg mg Ca/P
ヒマワリ 95 540 0.18 * コマツナ 290 55 5.27
麻の実 130 1100 0.12 * 大根菜 210 42 5.00
アワ 21 240 0.09 * チンゲンサイ 130 33 3.94
ヒエ 33 330 0.10 * なばな 150 80 1.88
キビ 20 270 0.07 * オカヒジキ 160 43 3.72
燕麦 55 320 0.17 * カブ菜 230 39 5.90

カルシウムの重要性は何度も述べたとおりですが、ここで考えなければならないのは適切な量の摂取です。どんな栄養素でも過剰摂取はよくありません。たとえばカルシウムでも過剰摂取はマンガンの働きを妨げて、かえって骨格形成を阻害してしまいます。しかし一番問題であるのはカルシウムとリンの摂取比率の問題です。カルシウムとリンの適正摂取比率は1.5:1、産卵期は3:1と言われています。つまり平常期にはカルシウムはリンの1.5倍摂取するのが適正値なのです。しかし鳥たちの主食であるシード類の比率はまるで逆でリンが極端に多いのです。これを補正するのが青菜で、それによってできるだけ比率を適正値に近づけましょう。カルシウム源のボレー粉やカトルボーンも大きな働きをします。カルシウム摂取によるマンガンへの影響も青菜の中に含まれる多くのマンガンによって補正されます(葉緑素を添加したと言われるいわゆるグリーンボレーは、この目的と思われます)。適正値以上のリンはカルシウムと結びついて第三リン酸カルシウムを形成し、非水溶性となって無効にしてしまうのです。
 上記の表を見るとシード類が1.5倍どころかリンの1割にも満たないカルシウム含有量であることが判ります。上述のようにヒマワリ種子だけを500gの鳥の飼料とするには11.3g必要と仮定されますから、摂取するリンは61mg。それに対して必要なカルシウムは1.5倍の91.5mgとなります。青菜だけでこれだけの量は摂取できませんから(コマツナでは32g必要)、ボレー粉などで摂取させる必要があるのです。クル病予防はカルシウムとビタミンD3との関係だけでなく、この比率が重要な意味を持っています。

「海産物のミネラル」

ユニークな実践的栄養学説を提唱された故川島四郎博士の著作には、素人にも分かりやすく納得のできる諸説が満載されていて、非常に興味深いものがあります。そのひとつに、「陸上ダシガラ説」があります。地球が誕生した段階では地上は各種の元素、ミネラルにあふれていました。ところが長年の降雨によって、それらのミネラルの多くは川となった雨水に洗い流され海となってしまった、というのです。つまり海は「ミネラル豊富な濃厚スープ」で、陸上は「ダシガラ」に等しいということになります。かつてアポロ宇宙船が月の石、土を持ちかえり、それをほんの微量、培養土に混入してみたところ、異常な程に植物が成長したと報告されています。恐竜や大森林時代が終わりを告げたのも、ひとつの理由として地上の土壌内における希有元素、ミネラル含有量が減少したせいではないかと、川島博士は考えたのです。
 ことの適否は確証が得られませんが、海水がミネラルの宝庫であることは間違いありません。海水内には分かっているだけでも94種類の元素が含まれています。カルシウムやナトリウム、リン、イオウなどはもとより、リチウムやマンガン、ニッケルに亜鉛、ガリウム、セレン、ストロンチウム、セリウム、トリウム、ウラン、ラジウム、それに金までが溶け込んでいます。これらの元素、ミネラルの中には生体にどのような作用を及ぼすのか解明されていない物質も含んでいるのですが、ともかくそのバラエティーの豊かさには驚かされます。アメリカの鳥飼育書には、与えるべき栄養剤の一つとして「海水濃縮成分」が指示されているほどです。
 こうして考えますと、私たちが鳥にあげているボレー粉やカットルボーンのような海産物は、陸上のカルシウム製品(卵殻や薬剤)が含んでいない、特殊な希有元素を微量ながら含有していると考えられるでしょう。ボレー粉はヨウ素補給のためにもあげる保健飼料ですが、どうやら補給できるのはカルシウムとヨウ素だけではないようです。
 さらに考えると、私たちは鳥に青菜をあげますが、もう少し海藻類(無塩のワカメ、ひじき、昆布など)をあげても良いのかもしれません。世界中でも海藻を常食するのは日本人ぐらいのもので、欧米では海の雑草としてあまり注目されていません(ペレットではハリソン社製品に含まれているようです)。ですから欧米の飼育書で海藻類について研究されたものはお目にかかりませんが、海洋国日本の鳥類飼養では、このあたりについて、もう少し研究がなされてしかるべきでしょう。

小動物用オヤツ類

昨今のペットブームでハムスターなどの小動物の飼育者が増加し、それに比例して小動物用のオヤツ類がペットショップでよく見かけられます。楽しそうなので、つい鳥にも流用したくなるのが人情ですが、その合成保存料や着色料の存在、原材料の不明、製造工程での不衛生さを考慮すると、決してお勧めできるものではありません。なにより、哺乳類と鳥類の必須栄養素は異なります。特に気を付けたいのは「野菜チップ」のような揚げ菓子で、これは油脂の酸化で有毒になっていることがあります。人間用と異なって、製造年月日や賞味期限が明記されていない動物飼料では、油脂製品は避けた方が賢明です。カロリーも過多です。さらに「ペット用ニボシ」というものもありますが、これは塩分が無いので腐敗しやすく、グラム陰性菌の温床になりかねないものです。塩分が無いのに日持ちするとすれば、逆に化学処理の危険があります。ペット用チーズも同様です。なぜ冷蔵庫で販売されていないのか、それでも腐敗しないのはなぜか?考えていただきたいと思います。こうしたものを愛鳥に与えることは人間側の楽しみに過ぎません。鳥には鳥用の飼料・おやつを与えましょう。海外の文献 では「モンキービスケット」を勧める場合もありますが、成分や保存面で安心してオススメできるのはSolid Gold社製品のみです。

栄養剤

通常の食餌で得られない各種のビタミンや微量元素を得るために、必要に応じて栄養剤を摂取させることがあります。
ただ滅多やたらに与えるのではなく、状況に応じて必要な不足分を与えることが望ましいので、成分が明記されているものが安心でしょう。人間用の「ポポンS小児用シロップ」などを与えることもありますが、哺乳類と鳥類の必要とする栄養素はちがうものがありますので、できれば鳥専用の栄養剤が望ましいでしょう。たとえばビタミンDはヒトではD2でもD3でもそれほどかわりはありませんが、鳥の場合はD2の効力(カルシウム・リンの代謝力)はD3の3%と言われており(家禽の場合・参照「家畜栄養学」国立出版他多数)、鳥にはD3を与えるべきです。人間用の栄養剤はD2である場合が多いのです。また人間には強調されるビタミンCは、鳥では特に与える必要がありません。鳥は体内でビタミンCを合成できるのです。ヒトはウサギなどと同様に、体内でのビタミンC合成はできませんから外部から摂取する必要があるのです。
 ペットショップでは各種の液体シロップ剤が販売されていますが、原材料の品名が列記されているだけで、成分の詳細が記されていないものも多いようです。糖分が多いため鳥は喜ぶかもしれませんが、不足栄養分の摂取という意味では効果は期待しにくいかもしれません。また、商品の回転の悪いショップでは、とんでもなく古いものを売っていたりしますが、パッケージに賞味期限表示の無い物は、その点で心配があります。飼料も栄養剤も、口に入るものは回転の良いショップで購入しましょう。
 そこでここでは成分の明記された、一定の評価を得ている栄養剤の成分などについて記します。成分表はメーカー側の発表をそのまま表記しました。感想は個人的なものですので、あくまでも参考にとどめてください。なお表中の「V」はビタミンを表わします。また
含有量はメーカーによって標記不統一のために省略しました。

写真左
ネクトン社栄養剤シリーズ。左から「B複合」、
「S」、「BIO」
写真中・右
栄養剤各種

プライム(アメリカ・ヘーゲン社)

目的 穀物飼料では不足する各種ビタミンと消化酵素・乳酸菌を与える。鳥の体内で生成不可能な2種のアミノ酸を含み、タンパク質の代謝を促す。日常投与しつづけることで効果が期待できる。
成分 V−A,V−D3,V−E,V−K,V−B2V−B1,V−B6,V−B12,V−C,
パントテン酸、葉酸、ナイアシンアミド、ビオチン、コリン、ヨード、鉄、マンガン、亜鉛、銅、
マグネシウム、塩化物、ナトリウム、カルシウム、メチオニン、リジン、アミラーゼ、
プロチアーゼ、乳酸かん菌、連鎖球菌、その他微量の酸と電解質
感想 給水に加えると数時間後、バクテリアの分解によって硫黄臭が発生するので、こまめな水替えが必要になる。バナナなどの軟餌にふりかけると、比較的楽に与えることができる。
乳酸菌が入っているのは他の栄養剤にはない特徴。味は甘い。

ネクトンS(ドイツ・ネクトン社)

目的 各種ビタミンを補給することによって、ビタミン不足が原因で起こる病気を防ぐ。特に換羽期、カゴの入れ替えなどのストレスがたまる場合、あるいは抗生物質・サルファ剤投与時にはビタミン類が不足しがちなので、こうした時期には有効。
健康な鳥にも病気への耐性を増す効果が期待できる
成分 V−A,V−D3,V−E,V−B1,V−B2,D−パントテン酸、ニコチンアミド、V−B6,葉酸、V−B12,V−C,V−K3,
V−H、DL−メチオニン、L−リジン、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−シスチン、L−グルタミン、
L−グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、カルシウム、亜鉛、マンガン、銅、鉄、コバルト、ヨウ素
感想 湿気やすいので冷蔵庫に保管する必要がある。そのまま舐めるとまずいので、給水に混入させて与える必要がある。
説明書の日本語訳が理解しにくい。愛用者が多い製品である。抱卵期の過投与は望ましくない。

ネクトンB複合(ドイツ・ネクトン社)

目的 ストレス期にビタミン不足でおこる各種の病気の予防。また神経系異常(過興奮・非整合性運動・斜頚等)の緩和が期待できる。特に抗生物質の投与を受けているときにはビタミンの働きが低下するので、ビタミンBの十分な補給が必要。病気に罹ってしまった鳥には不可欠な栄養素であり、通常の「S」に加えて与える。
成分 チアミン、リボフラミン、ニコチン酸(ナイアシン)アミド、Dパントテン酸、V−B6,V−B12,葉酸、
(右旋性)ブドウ糖キャリア・サブスタンス
感想 「ラッキョウ」のようなニオイのする黄色い粉末。ごく少量でも水が濃黄色になるので、多量には与えにくい。病気のとき、抗生物質を投与しているときの回復力はたしかに増強されるようだ。

ネクトン−BIO(ドイツ・ネクトン社)

目的 若鳥が成鳥になる際の換羽、通常の換羽、毛引き症による羽毛異常などのときに必要とされる栄養分、アミノ酸を補給させることによって、早く美しい羽毛を形成させることができる。換羽期はストレスがたまるので、その緩和にも効果を期待できる。
ただしビタミン摂取過剰にならないために、BIO使用時はSは併用してはいけない。繁殖期にも与えてはいけない。
成分 V−A,V−D3,V−E,V−B1,V−B2,V−B6,V−B12,V−C,V−H,V−K3,パントテン酸カルシウムD、
葉酸、ナイアシンアミド、L−アラニン,L−アルギン,L−シスチン,L−アスパラギン酸,L−グルタミン,L−グリシン,
L−リジン,L−ヒスチダイン,L−イソロイシン,L−ライアシン,L−メチオニン,L−フェニアラニン,L−プロライン,
L−セリン,L−バリン,L−スレオニン,L−トリイプトファン,L−タイロシン、マンガン、亜鉛、銅、鉄、コバルト、ヨード、
カルシウム、リン
感想 外見はSと同じようであるが、こちらのほうが価格は高い。ヨウムが毛引き気味で背中の羽毛に問題が生じたとき、本剤を投与した結果、きわめて短い期間で美しい羽毛に戻ったことを目の当たりにした。

その他ネクトンには繁殖促進を目的とした「E」、カルシウム不足やヒナの健全な骨格育成のための「MSA」、ビタミンKを摂取させたいときに用いる「Q」などがあります。ネクトンシリーズをまとめると次のようになります。

名称 主成分 目的
NEKTON-S 各種アミノ酸・微量元素・各種ビタミン 日常的栄養補給、ストレス時の回復
NEKTON-E ビタミンE 繁殖力増大
NEKTON-R カンタキサンチン色素 赤カナリアの体色色揚げ
NEKTON-GELB 黄色カロチノイド 黄カナリアの体色色揚げ
NEKTON-T 各種アミノ酸・微量元素・各種ビタミン レース鳩の栄養補給
NEKTON-BIO タンパク質強化 羽毛の成長促進、羽ツヤの向上
NEKTON-MSA カルシウム・ミネラル。ビタミンD3 骨格・羽毛の発達促進、カルシウムの補給
NEKTON-Q ビタミンK 抗生物質投与時のマイナス効果減少
NEKTON-B複合 ビタミンB各種 代謝機能向上、発育促進、抗生剤使用時
NEKTAR-PLUS 炭水化物・タンパク質・ビタミン・ミネラル・微量元素 蜜食鳥の主食パウダーフード
NEKTON-LORI 炭水化物・タンパク質・ビタミン・ミネラル・微量元素 果食鳥(ヒインコ科)の主食パウダーフード
NEKTON−TONICS ビタミン・ミネラル各種の添加剤 食性により4種ある

カルビタバード(日本・現代製薬)

目的 骨格育成、卵秘などの予防のためのカルシウム摂取
成分 カルシウム、V−B1,V−B2,V−B6,ニコチン酸(ナイアシン)アミド、パントテン酸カルシウム、タウリン、ニンニクエキス、クロレラエキス、白糖
感想 価格が安く入手しやすい。甘いので鳥は好んで舐める。カルシウム摂取に効果のあるビタミンDが表示されていないのが疑問である。含有量の記載がない。

現代製薬のシロップシリーズ「ガーリックエキス」

目的 内臓の強化、疲労回復、食欲不振、厳寒・酷暑期のスタミナ補給、卵秘の予防
成分 表示なし
感想 成分表示がないので論評不可能。無臭エキスだとあるが、にんにくの臭いは残っている。現代製薬はこのシリーズで、他にも「ビスビタンバード」「フランキーシロップ」「ゼオポーラ」「エキストラグリーン」「バイタルミン」「ミネラテックス」がある。
成分に「山椒」や「梅肉エキス」「葛根」などの表示が多く、さながら「鳥の漢方薬」。

現代製薬はこの他に「「ザ乳酸菌・鳥用」、現在唯一の市販医薬品「トモジン−ネオ」を発売しています。

その他

症状別のシロップ「ロビン」(現代製薬)、「バーディアン」(トーアコマース)、ヘルシーフード「小鳥の泉」(ハイペット)、ディミックス(小鳥の友社)などが市販されていますが、ディミックス以外は成分明細は表示されていません。
獣医師が出す栄養剤は養鶏用のものも多く、
「トリミックス」(三生製薬)
ビタミンA油 ・コレカルシフェロール ・酢酸トコフェロール・ アセトメナフトン ・リン酸リボフラビンナトリウム・ 塩酸ピリドキシン;シアノコバラミン;パンテノール
「ソルトップL」(ファイザー製薬)
パルミチン酸レチノール・ ビタミンD3油・ 酢酸トコフェロール・ アスコルビン酸ナトリウム ・葉酸 ・ニコチン酸アミド d−ビオチン
「ジョイヤー液」(ニッチク薬品)
ビタミンA・ ビタミンD3・ 酢酸トコフェロール・ リン酸リボフラビンナトリウム・ ニコチン酸アミド・ L−アスコルビン酸ナトリウム;ビオチン
その他多数の栄養剤があるようです。
また養鶏産業では海藻粉末、貝化石粉末、カニ殻粉末(キトサン)なども飼料に配合して成績をあげています。このあたりは飼い鳥にも応用できるのではないでしょうか?

栄養剤投与の必要性

ここまで栄養剤について説明しましたが、ヒトでも同じですが、栄養は食餌で摂取するのが本来の姿です。栄養剤は特に体力を消耗する繁殖期、換羽期、疾病時、抗生剤使用時などに特に与えるべきもので、漫然と毎日与えるべき物ではありません。しかし現実問題として鳥は偏食の傾向がありますし、必要な栄養素をまんべんなく摂取することは難しいものです。また同居のヒトの食生活によっては青菜やフルーツが不足したりすることもあります。ボレー粉やミネラル類を口にしない鳥もいるでしょう。さらに環境によっては日光浴もままならないことがあるでしょう。日光浴が出来なければ、ビタミンD3は生成されず、経口摂取するしかありません。しかも青菜などの野菜にはビタミンD3は含まれておらず、動物性の食餌(タラ肝油など)でしか摂取できないのです。
 こうした場合、総合ビタミン剤としての「ネクトンS」などを適宜投与することは決して危険な行為ではなく、むしろ望ましいと思われます。シード飼料を食べている鳥には、毎日少量の投与は必要だと考えられます。
 しかしペレットを主食としている場合はどうでしょうか?ペレットにはすでに必要な栄養素、ビタミン、ミネラルが含まれています。ある意味では栄養剤でもあるわけです。こうした食生活の鳥に、さらにビタミン剤を与えることは、ビタミンAやDといった脂溶性ビタミンの摂取過剰による副作用が危惧されます。ペレット食の鳥には週に1回程度のビタミン投与が望ましいでしょう。ただし、上記 の換羽期のような特別な場合は積極的な投与が必要になるでしょう。
 また、栄養剤を飲み水に入れる場合は、(特に夏場の)腐敗に注意しましょう。飲み水は鳥の健康を考えて塩素を抜く処理をしている方も多いと思います。塩素抜きの水は腐敗しやすいのです。そこへ栄養剤を入れると腐敗が早くなりますので気を付けてください。また直射日光が当たると、ビタミンは簡単に破壊されてしまいます。

ペレットについての個人的感想

現在、我が家の鳥たちにはペレットをあげ、さらに副食の野菜や果物をあげています。
ペレットについての個人的な感想を述べます。

ラウディブッシュ
(HP)
見かけは荒っぽく、食べてみてもあまりおいしくはない。鳥たちには好評。唯一ソルビン酸が入っている。これは抗真菌(カビ類)作用があるので、カンジダ症・アスペルギルス症の予防に効果があるかもしれない。
しかし、放置するとすぐにカビが生えるのはなぜ???以前はアメリカ国内同様に牛乳パックのような紙容器でよく虫がわいたが、その後、無酸素パックになって完全に効果が出ている。
ラフィーバー
(HP)
ナチュラル感に優れているが表面がツルツルで、いかにも「人工飼料」という感じがある。オオハナインコは食べるが、他には人気なし。
他のペレットに虫がわいたときも、このペレットのみ、無事であったが、それは「虫も食わない」ということか?
ジーグラー
(HP)
我が家のヨウムがショップで与えられていたペレット。独特のニオイが気になる。ドライイーストが入っており、これが身体に良いのだろうが、そ嚢などで酵母が繁殖する可能性はないのだろうか?現在は輸入されていないようだ。
ヘーゲン
(HP)
錠剤型。自然着色料で淡い色の3色がある。香りは天然香料とのことだが、ちょっと強いので心配になる。
ただしどの鳥もすぐに受け付けた。頑固者のヨウムが1日で切り替わったのはびっくり。脂肪9%の力か?
かつてスドー、現在はトリオコーポレーションが輸入しているが、どういう形でも安定供給を望みたい。
ケイティ
(HP)
米誌「Bird Talk」でおなじみ。特徴は色や形がさまざまで、ペレットの問題点のひとつ「選択の喜び」を鳥に与えられる。ただ、色は強烈、ニオイも強いので、いかにもアメリカ!という感じがする。その安全性を確かめたい。
現在では、さまざまなナチュラル系、オーガニック系のペレットも製造販売している。
ハリソン
(HP)
現在アメリカで「オーガニック・ペレット」として非常に注目されているペレット。一切の保存料を含まないので冷蔵庫保管で1ヶ月以内に使用しきる必要がある。我が家のヨウムが非常に好むペレットで、成分・形状がいろいろとある。成分的に申し分ないが、獣医師の処方食という扱いなので入手ルートが非常に限られていることと、航空便利用のため非常に高価(500gで2500円程)であることが難点。
ズプリーム
(HP)
現在の我が家の定番ペレット。
高温高圧下で押し出し成形をする「エクストルーデッド」タイプなので完全に殺菌されている。またビタミンCとビタミンEを保存料として用いているので、危険な人工保存料を使用していない。カラフルなタイプもあるが、味気ないナチュラルタイプでも嗜好性が高く、乾燥野菜などが入った「アヴィアン・アントレー」シリーズは大好評。



新しいペレット(現時点での推奨品)

ペレットの有効性と、バラエティー豊かな「選択の喜び」の両方を満足させるペレットミックスフードが、ズプリーム社より発売されました。「アヴィアン・アントレー」です。ペレットに厳選されたフルーツと野菜(ともにドライ)がミックスされ、嗜好性・栄養性も高く、現時点では一番の推奨品です。やや価格が高い(通常のペレットが1114gで2215円のところ、907gで2551円・2005年7月、CAP!調べ)のが難点ですので、通常ペレットに少し混ぜるというのも便利な使い方でしょう。

ガーデン・グッドネス ワイルド&スパイシー ハーベスト・フィースト
無着色ペレットと乾燥野菜のシンプルな配合。 ドライトマトやトウガラシも入って、スパイシーなナゲット。嗜好性満点。 カラフルなペレット、ドライフルーツや乾燥野菜。選択の喜び豊富。
粉トウモロコシ、大豆ミール、乾燥リンゴ、乾燥グリーンピース、粉小麦、乾燥赤ピーマン、乾燥トマト、乾燥ピーマン、小麦胚芽ミール、ベジタブルオイル、サッカロース、リン酸塩二石灰、炭酸カルシウム、野菜粉末(ニンジン、セロリ、ビート、ウォータークレス、ホウレンソウ)、食卓塩、DLメチオニン、塩化コリン、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール、ローズマリーエッセンス、クエン酸、マンガン酸化物、亜鉛酸化物、硫酸銅、ヨウ素酸カルシウム、セレン酸ナトリウム、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、ピリドキシン塩酸塩、チアミン、リボフラビン、葉酸、ビオチン、ビタミンB12 粉トウモロコシ、大豆ミール、乾燥カボチャの種、乾燥トウモロコシの殻粒、粉小麦、乾燥トウガラシ、小麦胚芽ミール、ベジタブルオイル、乾燥トマト、サッカロース、リン酸塩二石灰、炭酸カルシウム、野菜粉末(ニンジン、セロリ、ビート、ウォータークレス、ホウレンソウ)、食卓塩、DLメチオニン、塩化コリン、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール、ローズマリーエッセンス、クエン酸、天然着色料、人工着色料、マンガン酸化物、亜鉛酸化物、硫酸銅、ヨウ素酸カルシウム、セレン酸ナトリウム、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、ピリドキシン塩酸塩、チアミン、リボフラビン、葉酸、ビオチン、ビタミンB12 粉トウモロコシ、大豆ミール、乾燥リンゴ、乾燥グリーンピース、粉小麦、乾燥トマト、乾燥ピーマン、乾燥赤ピーマン、小麦胚芽ミール、ベジタブルオイル、サッカロース、リン酸塩二石灰、炭酸カルシウム、野菜粉末(ニンジン、セロリ、ビート、ウォータークレス、ホウレンソウ)、食卓塩、DLメチオニン、塩化コリン、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール、ローズマリーエッセンス、クエン酸、天然着色料、人工着色料、マンガン酸化物、亜鉛酸化物、硫酸銅、ヨウ素酸カルシウム、セレン酸ナトリウム、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、ピリドキシン塩酸塩、チアミン、リボフラビン、葉酸、ビオチン、ビタミンB12


ビタミンとアミノ酸

ビタミン

ビタミンやアミノ酸と言われると、ただもう多量に与えれば健康になりそうな気がしてしまいますが、やはり「適正量」というものがあります。特にビタミンは摂取過剰では健康に悪い場合もあります。
ビタミンには「脂溶性」と「水溶性」とがあります。このうち「水溶性」は名前のとおり水に溶けて排出されるので、過剰摂取してもさほど問題はありませんが、「脂溶性」は体内に蓄積されて障害を引き起こすことがありますので、摂取過剰は禁物です。
「脂溶性」ビタミンは「D,A,K,E」で、これ「だけ」と覚えると便利です。
「水溶性」ビタミンは「B,C,」、ナイアシン、葉酸、パントテン酸などで、それぞれ体内の調整を保つ潤滑油の働きをしています。人間に対する効果は研究されていますが、鳥(しかもインコなどの飼鳥)での適正値の研究は未だ十分にはなされていません。

アミノ酸

アミノ酸はタンパク質を構成する物質と考えると一般的には理解しやすいでしょう。そのアミノ酸のうち、体内で生成されないものは「必須アミノ酸」と呼ばれます。鳥の場合は「リジン」や「メチオニン」がそれにあたります。ペレットの成分表を見ると、この2種のアミノ酸が必ず入っているのがわかるでしょう。
 アミノ酸が多いのは種子(シード)類です。野菜の筆頭「コマツナ」はリジンとメチオニンが100と20(mg/100g)ですが、ヒマワリでは760と520、落花生では1000と520あります。「畑の牛肉」大豆タンパク粉末では5200と1100もあります。こうしたものを適切に摂取させれば、本来は薬品で補う必要はないのでしょう。

明確でない適正値

鳥の栄養学の研究は十分になされていません。産業動物としての「家禽(鶏やアヒルなど)」の栄養学がある程度研究されているのがせいぜいです。ペレットのうたい文句「必要な栄養素をすべて満たした」というのも、何を根拠にしているのかは不明です。数多くの実験を繰り返した結果というのは事実でしょうが、それで解明されたわけではないのです。人間の栄養学でもイカやエビが身体に悪いと言われていたのが、いつのまにか「タウリン」が良いのだ、というようにコロコロ変わるくらいですから、飼鳥の栄養学ではなおさらです。ですから私たちは、偏った食生活をさせずに、バラエティー豊かな食餌を与えるということを心がけるのが大切でしょう。
 ここでは参考のために産業動物である鶏の飼料の推奨飼料成分(ビタミン・ミネラル)を示します。なお、ニワトリとインコの必要栄養素を同一視することも問題ですが、特に「食肉用鳥」の飼料はタンパク質含有量がかけ離れていますので、まったく参考にはなりません。

鶏用飼料1kg中のビタミン含有量推奨標準

* V-A V-D3 V-E V-K1 V-B1 V-B2 パントテン酸 ナイアシン V-B6 V-B12 ビオチン 葉酸 コリン
幼ひな 8000IU 1000IU 15IU 2mg 2mg 4mg 12mg 35mg 4.5mg 0.01mg 0.15mg 0.6mg 1300mg
産卵鶏 6000IU 1000IU 5IU 1mg 1.5mg 4mg 3mg 12mg 3mg 0.005mg 0.1mg 0.25mg 500mg

鶏用飼料1kg中のミネラル含有量推奨標準

* マンガン マグネシウム 亜鉛 セレン ヨウ素
幼ひな 60mg 600mg 80mg 5mg 40mg 0.15mg 0.35mg
産卵鶏 30mg 500mg 50mg 5mg 50mg 0.15mg 0.3mg

栄養素・ビタミン・無機質のはたらき

鳥にとって必要とされる栄養素のはたらきは、次のように考えられています。

栄養素等の
名称
はたらき 欠乏による障害
蛋白質と
アミノ酸
蛋白質というのは約20種類のアミノ酸により形成されています。そのうち必須なのは、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、フェニールアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリンの10種。その中でもリジンとメチオニンは一般の食餌から得にくいので注意して摂取させます。これらが鳥の血や肉を構成する重要なはたらきをします。 発育不全、食餌摂取量の減少、生殖障害、体重減少などを起こします。
またさまざまな羽毛障害も発生し、毛引き症の原因にもなります。
さらに内臓疾患、関節の痛風にも影響を与えると考えられています。
炭水化物 運動するエネルギーとなります。 特にはありません。脂肪を炭水化物の代りとして正常な血糖値を持続し、発育します。
脂肪 エネルギー源として必須のものです。不飽和脂肪酸、リノール酸とアラキドン酸は、細胞組織の発育に重要なはたらきをします。また羽毛の成長や皮膚の正常な形成に不可欠です。ただし酸化するとアルデヒドを形成して、アミノ酸やビタミンのはたらきを妨げます。 細胞の健全な発育の不全。特に成長期の若鳥の場合は、著しい発育不全、脂肪肝症候群、呼吸器感染症に対する抵抗力の低下をもたらすこともあります。
ビタミンA 発育、視覚、正常な皮膚の維持に不可欠です。常に補給が必要な大切なビタミンです。緑黄色野菜に含まれるβ−カロチンは鳥の体内でビタミンAとなり、過剰分は排泄されるので、安心です。 夜間視力の低下、動作不活発、口腔内に小さな白い壊死斑が発生。病気抵抗力が低下します。風邪や副鼻腔に異常が見られ、白い病変が上顎部に見られるようになります。
ビタミンD3 正常な骨を形成するためのカルシウムとリンの代謝に不可欠です。日光を浴びることで体内で形成されますが室内の飼い鳥では不足します。炭水化物含有量の高い食餌もビタミンDの変質を引き起こすので注意。多量の摂取は石灰化を伴って腎臓疾患になります。D3は動物由来のものですので、野菜から摂取することは不可能です。 脚の湾曲、骨の軟化による歩行困難。クチバシや爪が軟化し、変形する。一度これらの障害が発生すると改善することは困難と言われています。
ビタミンE 老化防止剤。ビタミンAやD3と同様に必須脂肪酸を保護します。 若鳥の場合は脳の発育不全、浮腫を伴う神経症状が見られます。
ビタミンK 血液凝固のはたらきをします。またプロトロンビンの生産にも機能します。ヒマワリの種子だけですと欠乏します。 鳥は止血が早いのですが、これが不足するとわずかな出血が止まらず危険です。
ビタミンB1
(チアミン)
炭水化物の代謝に機能します。 頚の筋肉異常で「仰天症」を呈します。また拒食症状を示すこともあります。
ビタミンB2
(リボフラビン)
体内の酵素に作用し、細胞の活性をコントロールするはたらきをします。黄色の結晶質です。 若鳥に悪影響します。発育不全、下痢。翼が垂れ下がり、休息状態を示します。皮膚炎にもなります。重度の場合、食欲はあるのに下痢が続きます。若鳥の場合は神経の正常な発達を妨げます。
パントテン酸 炭水化物、蛋白質、脂肪の代謝に不可欠です。 皮膚症状。足裏のひび割れ。不安定でフラフラ。
ナイアシン
(ニコチン酸)
炭水化物、蛋白質、脂肪の代謝に不可欠です。 足指の浮腫、脚の湾曲。アキレス腱はずれ。
ビタミンB6
(ピリドキシン)
アミノ酸の代謝機能。 通常の食餌では、あまり欠乏は起こらない。
ビオチン 二酸化炭素の代謝機能。卵白にはビオチンを無効にする物質「アビジン」があるので与えてはいけません。 骨格異常、運動失調、腱はずれなど。パントテン酸不足とまぎらわしい。
葉酸 アミノ酸や核酸の代謝、核蛋白の形成に不可欠です。 発育不全、羽毛障害、貧血、腱はずれなど。
ビタミンB12
(コバラミン)
核酸合成、炭水化物と脂肪の代謝機能。脂肪肝の防止。常に補給が必要です。赤色の結晶質です。腸内細菌によって合成されると言われます。 発育不全、重度の拒食症状は極めて危険です。
抗生物質投与中は積極的に補給しないと真菌性疾患の誘因となります。
コリン 体内代謝に関与している。 回復不能なアキレス腱はずれ。
ビタミンC 体内の各機構の調整、毛細血管の強化。 鳥は体内で十分量合成できるため、不足はほとんどありません。肝臓で生成されるために肝機能障害の場合は特に投与する必要があるとされます。
カルシウム 骨、卵機能。殻の形成。血液凝固の機能。 クル病の発生、卵殻の軟化、卵秘。
リン 炭水化物と脂肪の代謝機能。骨の形成、体内の酸と塩基の平衡機能。カルシウム1.5に対し1必要。 クル病の発生。カルシウムとリンとビタミンD3がそろってはじめて機能します。
マグネシウム 骨の形成、炭水化物の代謝。酵素機能の強化。 骨格異常に関与するとされます。
ナトリウム カリウムと一対になって心臓機能をつかさどります。過剰な塩分摂取は危険です。ニワトリの場合、体重1kgあたり4gで致死量に達します。特に若鳥は危険。 心臓機能低下、体重減少、神経異常行動。ナトリウムは血液などの体液中に見られる。
カリウム 骨の形成、ナトリウムと共に心臓機能の制御。 前進的な体力低下、腸の機能低下、心臓衰弱。
マンガン 骨の形成。成長、再生。カルシウムの過剰摂取はマンガンのはたらきを妨げる。 腱はずれ(ペローシス)。
ヨウ素 甲状腺の正常な機能促進。甲状腺で作られたチロキシンは、65%のヨウ素を含んで体内代謝を促進します。生大豆はチロキシン合成を抑制するといわれています。甲状腺腫の場合は飲水にヨウ素液を滴下し、補う必要があります。 甲状腺組織の増殖で甲状腺腫が起きる。甲状腺ホルモン不足を起こし、眠ってばかりいる、皮膚乾燥、バサバサした羽毛、体温不安定につながります。また呼吸困難でヒューヒュー音を出し、喘息症状を示します。これは甲状腺腫が気管を圧迫するためです。
鉄と銅 ヘモグロビンの形成。 羽毛退色。貧血。
亜鉛 体内の酵素のはたらき促進。不明な点も多い。 羽毛の奇形が生じる場合があります。
セレン 筋肉を正常な状態に保つ機能をします。 羽毛発育不全。脂肪消化力減退。膵臓機能減少。


特殊飼料

健康な成鳥に与える食事については既に述べてきたとおりですが、ヒナから若鳥、病気の時には特別な療養食が必要になります。またヒインコ科に属する果実食鳥には、穀物食鳥とは異なる食餌を与える必要があります。

ヒナ・若鳥の飼料

セキセイやオカメなどと異なり、大型インコの育雛(いくすう)は非常に繊細で難しいことですので、初心者が手がけるのはお勧めしません。そのことを前提にお話しします。
共通して言えることは「腹半分」、「1日3〜4回(朝昼夕夜)」「必ず毎回作る。作り置きしない」ことです。セキセイインコなどでは「そのうがいっぱいになるまで差し餌する」と言われますが、大型インコは腹半分が鉄則です。一度に満腹させると、食滞(餌がそのうで固まり、それ以後食餌を受付けなくなってしまう症状)をおこしがちです。
 なお、大型インコが一人餌になるのは個体差が大きく、だいたい生後3〜4か月、コンゴウインコなどでは6か月以上かかることもありますので、かなりの長期戦になる覚悟が必要です。差し餌と同時にヒマワリや麻の実、あるいはこまかいペレットなどを入れておき、イタズラ食いできるようにしておきます。一人餌を食べた形跡があれば、朝夜2回にし、次に夜1回にします。毎日体重を量り、フンの量を調べて、きちんと食餌が摂取されているか確認することが大切です。
 こうした湿った差し餌を与えている間は、飲み水は入れません。水の飲み過ぎで下痢をする可能性が有ります。
離乳(一人餌になる)までの日数は次のように言われています。
メキシコインコ=50〜60日
ボウシインコ、小型コンゴウインコ、中型バタン、ヨウム=75〜90日
大型コンゴウインコ、大型バタン=95〜120日
オオハナインコ=100〜110日

パン粥

差し餌として愛用されてきたものです。ゆで卵の黄身と食パン(こまかくちぎったもの)を1:10の割合でまぜ、蜂蜜を少し加え、温かいミルクをひたひたに入れ、かき混ぜます。練ってはいけません。良質のドッグフードや九官鳥用の餌をふやかしたものを少し加えるのも発育促進には良いでしょう。
 これを温かい(40度)うちにクチバシのそばに持っていくと「グワグワ」と口を開けて欲しがりますので、清潔な手でつまんで(少しミルクを絞って)口の中に入れてあげると「ングング」と呑み込みます。コツは文鳥やセキセイなどと異なり、そ嚢がいっぱいになるまであたえてはいけません。「腹4分〜半分」が原則です。満腹させると嘔吐したり、次回にまったく食べなくなったりします。いつでもすこし空腹、というぐらいにしておきます。
 牛乳を用いることには賛否両論があります。牛乳には4.5%の乳糖(ラクトース)を含んでいますが、鳥類は乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が欠如しているために下痢をおこしやすいので与えるべきではないというのです。酵素がないヒト向けの「アカディ」のような乳糖分解処理された牛乳を用いた方が良いでしょう。

パウダーフード

ペレットを売り出しているメーカーではたいてい育雛用パウダーフードを売り出しています。栄養価・バランスともに優れているので、従来のパン粥を作る人は減りました。ペレット否定派の人もヒナにはパウダーフードを与えている場合が多いようです。優れているのは栄養バランス・手間がかからないということのほかに、混ぜる水分を成長度合いに合わせて減少させることで、スムーズに一人餌に切り替えやすいということがあげられます。ここではまず一番オーソドックスな、ラウディブッシュ社の「フォーミュラ3」(上段)と、ケイティ社の「ハンドフィーディングフォーミュラ」(下段)について成分などを見てみましょう。非常にバランスのとれた高タンパク飼料であることがわかります。抗酸化剤エトキシキンの配合は気になるところですが・・・。
 ケイティ社製品で特徴的なのは成分として、プロテアーゼ、アミラーゼなどの消化分解酵素、そして乳酸菌(Bacillus coagulans、B.licheniformis、B.subtikis)などが入っていることです。ヒナにとっては重要なものですから、これは特記すべき事項でしょう。ラウディブッシュ社製品が合わない(下痢など)ヒナにケイティ社製品が合うということも多いそうです。
 またケイティ社の「ハンドフィーディングフォーミュラ」には脂肪分の多いコンゴウインコ用があります。これはタンパク質19.0%、脂肪分12.0%、繊維質5.0%、水分10.0%となっています。原材料は通常のものと同じです。
 さて、このヒナの消化不良問題に配慮した新製品がラウディブッシュ社から2000年3月に発売されました。その名も「フォーミュラーオプティマム」。メーカーのパンフレットによれば「大型鳥のために新しく開発されました! ミックスの簡単さと消化の良さが製品の特徴です」ということで、「当製品は固まらない、分離しない特徴があり消化も大変しやすいパウダーフードです」と明記されています。さらに大型鳥のみならず「オカメインコ等の消化器官が弱いことが多い鳥にもお薦めします」と書かれているのは、上記の問題を考慮してのことでしょう。特徴は「3」の繊維質が5.5%であるのに対し「オプティマム」は2.0%です。また代謝エネルギーは「3」が3550Kcal/kg、「オプティマム」が3160kcal/kgと軽めです。使用法は基本的にはフォーミュラー3と同じですが、「濃度と与える回数が異なります」とのことです。使用法は説明書を参照して下さい。

ということでしたが、このオプティマム、2002年になんと発売中止となってしまいました

 なおラウディブッシュ社には文鳥用の「オリジナルフォーミュラ」がありますが、これはビタミンAが2倍、ビタミンD3が3倍と高いので、文鳥よりも差し餌期間の長いインコには不適です。

蛋白質 脂肪分 繊維質 水 分 原 材 料
ラウディブッシュ
フォーミュラー3
21.0% 7.0% 5.5% 12.0% コーンスターチ、コーン粉、大豆タンパク、大豆粉、大豆油、リン酸カルシウム、メチオニン、炭酸カルシウム、塩化コリン、塩化カリウム、亜セレン酸ナトリウム、ナイアシン、エトキシキン、硫酸マンガン、ビタミンE、C、ビオチン、酸化亜鉛、パントテン酸カルシウム、ビタミンB2、A、B6、K、B12、チアミン、Lodine、酸化銅、ビタミンD3、葉酸
ケイティ
エグザクト
ハンドフィーディング
フォーミュラー
22.0% 8.0% 5.0% 10.0% 挽きコーン、コーンタンパク粉、挽きオーツ麦、挽き小麦、粗挽き小麦、コーン油、乾燥卵、大豆タンパク、乾燥ビートパルプ、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、L-リジン、小麦胚芽、乾燥ビール酵母、コーンシュガー、ビタミンA、食塩、塩化コリン、DL-メチオニン塩化カリウム、プロピオン酸、ビタミンE、B12、B2、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、ビタミンC、エトキシキン、二酸化マンガン、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、チアミン、酸化銅、ビタミンD3、B6、葉酸、乾燥乳酸菌類、乾燥発酵生成物、βカロチン、炭酸コバルト、ビオチン、亜セレン酸ナトリウム

このパウダーをお湯(40度)で練って、図のように左右両端を曲げたティースプーンで与えます。このティースプーンは中ぐらいのサイズで加工しやすいという面を考えると、キャンプ用のアルミニウム製のものが良いでしょう。また、与えるときには図のように鳥に上を向かせてあげるようにします。こうすると気管に誤入することが少なく安全です。このポーズはヒナが親鳥から餌をもらう自然なポーズで、「アグアグ」と首を振って飲み込みます。そうすることで気管入口(声門)がふさがれるのです。この「アグアグ」をしない場合は、片手の親指と人差し指でクチバシの上下の接合部(付け根)を軽く挟んであげると、「アグアグ」し始めます。前向き姿勢で与えると、気管誤入の心配がありますし、クチバシのまわりにこぼして、ガビガビになってしまいます。ただし、水のようなレベルの濃度の段階では、この「上向きポーズ」は逆に危険で、前方から水平にスプーンを差し出して、ヒナが自分から突き上げて飲み込む形式をとります。ただ、水レベルの段階での育雛は、非常に危険ですので、どちらにしても素人が手を出すべきではありません。給餌方法で一番悪いのは、最初前方から呑 み込ませ始めて、呑み込んだら急に上向きにさせて流し込むことです。これではわざわざ気管誤入をさせているようなものです。
パウダーフードに添付されている説明書のとおりに、お湯で溶きます。大型インコの場合、ショップから迎える段階は、どんなに幼くても孵化後4週間は過ぎているでしょう。それ以前ではあまりにも危険です。孵化後4週間なら4〜5倍、5週目以降は3〜4倍に薄めることが説明されています。成長の度合いに応じて徐々に水分を減らし、最後には団子状になるまで水分を減らして、直接指で与えます。そのころにはペレットなどの一人餌をイタズラ食いしているでしょうから、ペレットにパウダーを少しかけるなどして、スムーズに切り替わるようにします。団子状になったら、飲み水も独立してあげるようにします。
この団子を健康な成鳥にもたまに与えておいしさを教えておくと、薬を摂取させる必要が発生したときに練り込んで無理なく与えることができます。そうした試みものちのち便利です。Lodineはヨード添加剤?Ethoxyquinは抗酸化剤エトキシキンです。

一人餌としてのペレット

パウダーフードを卒業し、一人餌になったヒナ〜若鳥には、飼い主の考えに従ったペレットやシードを与えます。ここで注意して欲しいのは、この成長期(大人の羽根に換羽するまで)や最初の冬越しをするまでは、ラウデュブッシュペレットの場合、ブリーダータイプを使用することです。これは脂肪が3%、蛋白質が20%の高蛋白食です。これを使って脂肪太りでない、重く充実した体格を作ってあげなくてはなりません。最初からメンテナンスタイプですと、十分な換羽ができない可能性があります。成長期の鳥の食餌中の蛋白質は20%必要というのが定説です。
またブリーダータイプには防カビ剤(抗真菌成分、ソルビン酸やプロピオン酸)が含まれているので、ヒナや若鳥に多いカンジダやアスペルギルス症の予防に効果を発揮するはずです。
冬越しも終わり、換羽も無事終了、体重が成鳥として安定したら、メンテナンスタイプに切り替えます。
ラウディブッシュ・ブリーダータイプの成分と原材料は次の通りです

蛋白質 脂肪分 繊維質 水 分 原 材 料
20% 3% 2% 12% 挽きコーン、大豆粉、挽き小麦、落花生粉、大豆油、炭酸カルシウム、
リン酸カルシウム、大豆タンパク、L−リジン、DL−メチオニン、
セレン化ナトリウム、ナイアシン、塩化コリン、ビタミンE、ビタミンC、
バイオチン、硫化マンガン、Ethoxyquin(抗酸化剤)、酸化銅、
パントテン酸カルシウム、酸化亜鉛、ビタミンB2、ビタミンB6、
Lodine(ヨード添加剤?)、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンK、
ビタミンB12、ビタミンD3、チアミン、塩、葉酸、水酸化アンモニウム、
酢酸、ソルビン酸、プロピオン酸、酒石酸、天然リンゴ香料

Ethylendiamin Dihydriodide(Source of Lodine)は不明でした。ただしエチレンジアミン・ジヒドロヨウダイドはヨード補給のための動物用医薬品です。Dihydrocholordeならばエチレンジアミン二塩酸塩のことですが・・・? ソルビン酸もプロピオン酸も食品添加物で、カビ、酵母、好気性細菌の発育を阻止する効果があります。
エトキシキンは飼料添加物として認可済の抗酸化剤ですが、ヒトの食品には禁止されている化学物質です。こうした例は多く、飼料に添加が認められている他の抗酸化剤BHA(ブチルヒドロキシニアソリドール)やBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、もヒトの食品添加物としては禁止されています。エトキシキンは本来合成ゴムの固定材だったのです。ちょっと恐ろしい話ですね。

また、最近、ブリーダータイプの成分のうち、脂肪分を7%に高めた「ハイエネルギータイプ」も売り出されました。大型インコの若鳥には、こちらのほうが望ましいでしょう。

写真左:
左がブリーダータイプ。右が脂肪分強化のハイエネルギータイプ
写真右:
左が果食鳥用のローリーネクター。最近アルミパックになりました。
右はローファットタイプ(旧包装)
※ローファットタイプは処方食です。
(タンパク質12%、脂肪3%、繊維3.5%、水分12%)

療養食

病気の時はまず保温が鉄則です。そして信頼する動物病院に行き、指導された療養食を与えます。ですからここでは概略のみ説明します。

ペットリン

「特殊健康増進飼料」と銘打たれていますので、ちょっと試してみたくなりますが、これはクロールテトラサイクリンという抗生物質が0.05%添加された粟玉です。主にオウム病対策として用いられます。昭和54年5月に横浜で複数の死者を出すオウム病感染騒ぎがあり、これを憂慮した日本愛玩動物協会が同年7月に作り、会員(小鳥商)に頒布したものです。3週間以上これだけで育てなければならないことや、漫然と抗生物質を与えること、さらに抗生物質の量が大型インコには中途半端なことなどの理由で、大型インコには用いません。中型インコなどに与える場合も注意してビタミン剤を積極的に添加するなどして、抗生物質の副作用について配慮しなければなりません。長期にわたる抗生物質の投与はカンジダなどの真菌性感染症への感受性を高めてしまいます。
特に最近報告事例の多いオカメインコのヒナノカンジダやトリコモナス症による落鳥の原因は、抗生物質の長期投与が原因と思われますので、ヒナの差し餌には使用してはいけません。成鳥の健康時に限って使用すべきでしょう。
 なお、愛玩動物協会からの情報によると今回、農水省薬事室の指導を受けて、抗生物質ではなく乳酸菌の一種であるペプチドグルカンを原料とする新ペットリンに切り替わっています。

フォーミュラーなど

育雛用で上記したパウダーフードです。これを療養食として用いる場合があります。衰弱の程度で濃度を変え、自分で食べられなくなった場合は、まず差し餌に使うスプーンで食べさせ、それがだめならばシリンジ(注射器)などで、そ嚢に直接注入します(チューブフィーディング)。素人では危険なので最初は先生に任せたほうが無難でしょう。また、フードポンプの名称で専用シリンジが市販されていますが、これに付属のゴム管は短いので、15cm以上の長さのシリコンゴム管を買って、付け替えることをオススメします。さらにゴム管の先端はカッターで加工して滑らかな形にしてケガを防ぎます。
 クチバシを開けさせるには、左手で頭を固定し、チューブで上下クチバシの接合部をこじ開けるようにして突っ込みます。このとき、できるだけ鳥を真上に向けさせてください。こうすることで舌の奥にチューブが入り、気管誤入の危険が回避できます。
病気の鳥は消化吸収力が低下しているので、薄目にして回数を多くするのがコツです。温度は体温に近い40℃くらいでないと食べが悪いようです。しかしドロドロのフォーミュラーは表面温度と中心部の温度が差が出ます。中が熱すぎると食道にヤケドをさせてしまいますので、作ったフォーミュラーの中心部に棒型温度計(水銀式体温計で可)を挿し込んで、中心部が40℃であることを確認してからシリンジで吸引し、給餌します。
 そ嚢の様子を見ながら少しずつ与えます。一度にたくさん与えると食滞を起こすのは、ヒナと同じです。中型インコの場合は左手で保定して右手でシリンジを操作できますが、大型インコの場合は保定者と給餌者の2名が必要になります。
多少食欲が回復したらフォーミュラー団子も良いでしょう(「医」のコーナー参照)。また、甘みを好みますので、ブドウ糖を混ぜたりすることも良いでしょう。

ボンラクトi(粉ミルク)

フォーミュラーでは強すぎて下痢してしまうほど腸が弱っている場合は、和光堂の特殊粉ミルク「ボンラクトi」を与える場合があります。この粉ミルクは大豆が原料で、病気の鳥が吸収しやすいものです。しかしこの段階までいたっていれば、もう素人の出る幕はなく、獣医師の指導に従ってください。

ブドウ糖(D-グルコース)

鳥は血液中の糖分が非常に多い(ヒトの3倍)のですが、これが低下する(低血糖)と、たちまち弱りますので、補給してあげなければなりません。糖分の中でもっともよく吸収され、エネルギーに直結する糖分がブドウ糖です。さまざまなエネルギー源は化学変化を経て最終的にはブドウ糖という形をとり、生体にエネルギーを供給して水と二酸化炭素に分解されます。ちょっと弱ったかな?というときに与えると回復することもありますし、獣医師が処方する場合もありますが、人間の点滴のようなもので、あくまでも応急処置です。1週間以上の継続投与はそ嚢に真菌繁殖のおそれがあります。ただし次項に示すような補助的な用途で使うのならば非常に効果的だと思います。
 ブドウ糖を与える場合は20%水溶液を作り、35〜40℃に温めてあげましょう。食べ具合によっては片栗粉でトロみを付けても良いでしょう。
 なお、ブドウ糖のかわりにポカリスエットでは?というご質問がありましたが、ポカリスエットにはたしかにブドウ糖が含まれています。しかしポカリスエットの主目的はヒトの発汗で失われた水分とミネラル(主として塩化ナトリウム)の補給です。そのため塩分の含有量が多いものです。鳥類にとっても塩分は不可欠ですが、過多は中毒を起こします。塩化ナトリウムの致死量は体重1gあたり4mgといわれています(鶏の場合)。500gの鳥の致死量は2gということになります。どうやらポカリスエットはブドウ糖の代りにはならないと言えるでしょう。ただし脱水症状、血糖値急低下のような場合にはポカリスエットが劇的な効果を示すことも報告されていますが、投与の判断は獣医師に任せるべきでしょう。

差し餌時代の食餌

食欲が低下し、何も食べなくなってしまった鳥は、病気そのものよりも栄養不足で危篤となってしまいます。鳥の血糖値はヒトの3倍以上もあるのです。一時的には(食べるようならば)やむを得ない緊急避難的にヒトの食べ物(カステラなど)を与えるのもやむを得ないでしょう。もちろんそうして安定させて動物病院に連れていき、あとは先生の指示に従うことになります。
 どんな餌も見向きもしなくなってしまったら、差し餌時代の餌をあげてみるのも良いでしょう。粟玉、パン粥、フォーミュラー3、ボンラクトiなど、そのコの差し餌時代の餌をあげると食べることが多いのです。幼児体験を思い出すのでしょうか?そのまま食べない場合はブドウ糖粉末や蜂蜜を混ぜてあげるとおいしいのか、食べが良くなるようです。それにブドウ糖は即戦力のエネルギー源として、体力低下した鳥の活力を維持します。そうした意味からブドウ糖を小ビンで薬局から買って常備しておくのも良いでしょう。
 ブドウ糖は人間の疲労回復にも即効的に効きます。朝、ボーッとしがちな人は「低血圧だから」と言われますが「低血糖」であることが原因であることも多く、朝一番にブドウ糖溶液を飲むと、たちまち活動的になります。人間用に使えるのですから、買って無駄にはならないはずです。処方箋を受付ける調剤薬局ではたいてい売っています。今は写真のように分包で売っています。

蜂蜜水・ブドウ糖液・ポカリスエット利用の限界

これらの糖分添加水の常用はそ嚢に付着して炎症を起こす可能性がありますので、あくまでも疾病時、動物病院へ連れて行くまでの栄養補給に使うものです。1週間以上の連用は絶対に避けてください。

果実食鳥の食餌

ヒインコ科に属する鳥は、自然界では熟れた果実や花蜜などを主食としていました。オオハナインコなどもその傾向があります。これらの鳥にヒマワリや麻の実ばかり与えると、健康に障害が顕れます。
 主食として種子を与えるとしても、主食同様の量のバナナやリンゴなどの果物、コマツナやピーマン、カボチャなどの野菜類を与えてください。あまり水分の多いものは下痢の原因になりますので、スイカなどの与え過ぎは避けましょう。
 ラウディブッシュ社やネクトン社では、こうした果実食鳥用のパウダーフードを販売しています。ラウディブッシュ社の「ローリーネクターダイエット」を例に見てみましょう。なお、この「ダイエット」という単語を「やせる食べ物」と勘違いする人がいますが、「常食」が本来の意味で、狭義には「療養規定食」と訳されます。誤解なきように・・・。

蛋白質 脂肪分 繊維質 水 分 原 材 料
15.0% 3.5% 0.5% 12.0% 蔗糖、大豆タンパク、でんぷん、コーン油、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、
メチオニン、塩化コリン、塩化カリウム、ビタミンE、ナイアシン、亜セレン酸ナトリウム、ビタミンC、ビオチン、パントテン酸カルシウム、酸化マグネシウム、硫酸第一鉄、
ビタミンB12、A、硫酸マンガン、ビタミンB2、B6、酸化亜鉛、Lodine、ビタミンD3、
チアミン、ビタミンK、葉酸、酸化銅

100gあたりの代謝エネルギーは378Kcal、ビタミンD3は425IU、ビタミンAは1900IUです。
 このパウダーを水で3倍に薄めて与える方法、果物や通常のペレットに振り掛けて与える方法などがあります。とても甘いので鳥は好みます。粉状の乾燥状態で与えても上手に舌を使って食べます。
 あまり見かけませんが、通信販売で入手できます。
なお、オオハナインコは腸が長いので、これとは別に繊維質を積極的にあげる必要があると言われています。

KAYTEE社の新しいローリーフード (2001.10)

ケイティ社から新しく乾燥ペレットタイプの「ローリーフード」が発売されました。乾燥したまま与えられるので腐敗の心配がなく安心です。

蛋白質 脂肪分 繊維質 水 分 原 材 料
15.0% 4.0% 5.0% 12.0% 挽きコーン、挽き小麦、挽きオーツ麦、粗引き小麦粉、
コーングルテン、乾燥鶏卵、乾燥甜菜繊維、コーン油、
大豆粉、コーン糖、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム
、小麦胚芽、乾燥蔗糖蜜、L−リジン、塩、ビタミンA、
塩化コリン 、乾燥ビール酵母、DL−メチオニン、ユッカエキス、
プロピオン酸、ビタミンB12、ビタミンB2、二酸化亜鉛、炭酸第一鉄、
二酸化マンガン、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、
二酸化銅、ビタミンD3、ベータカロチン、乾燥有用細菌生成物、
セレン化ナトリウム、人工着色料、天然香料

野菜・フルーツジュースの利用

果実食の鳥には飲水を水でなく野菜ジュースやフルーツジュースが望ましいとも言われます。もちろん100%ジュースで、無塩無糖のものです(野菜ジュースは塩分を添加しているものが多いので注意)。フルーツジュースではリンゴジュースが最適で、色の濃いものは好まれないようです。また柑橘類は金属容器に入れると化学反応を起こして有害化する危険があります。樹脂の水入れならばその危険は避けられるでしょう。ともかく常温では腐敗しやすいものですので、通常の水よりも取り替えを早める必要があります。

海外情報と日本の現状

欧米の飼育書を読んで実行する際に忘れてはならない、基本的な問題があります。それが土壌の差です。日本は火山国です。国土は火山土壌に覆われ、田畑のほとんどが火山土壌の沖積層、洪積層です。また急峻な山岳が多く、平野の少ない我が国では世界的な大河はなく、火山土壌の平野を抜けて、たちまち海に達してしまうのです。このため、日本の土壌や水には基本的にカルシウムが不足しているのです。日本の水はおいしいと言われますが、これはミネラル含有量の少ない「軟水」だからであって、栄養の面からは必ずしも手放しで喜べるものではないのです。
 こうした土壌と水で育った野菜などは、当然カルシウムや他の元素が不足していると考えられます。一方、欧米特にヨーロッパは造山運動により海底がせりあがってできた土地です。イギリスのドーバー海峡に面した白い崖や、イタリアで粘土より安いとまで言われる大理石など、これらはすべて石灰岩です。つまり土地そのものにカルシウム分が豊富に含まれているのです。またアルプスの雪解け水が地面に染み込んで生まれ、大陸をとうとうと流れる大河には、当然ながら多くのミネラルを含んでいます。湧き水も同様です。フランスの有名なミネラルウオーターなどは、飲んだ後に舌にべったり感が残るほどミネラルの多い「硬水」です。このように、欧米と日本とではそもそも土壌と水が違うのです。日本の土壌中のカルシウムは0.63%ですが、アメリカやドイツは約1.3%、イギリスやフランスではなんと4.0%以上の含有量です。河川中のカルシウム含有量(1リットル中)も日本が8.8gであるのに対して、北アメリカは21.0mg、ヨーロッパは31.1mgです。完全に「勝負あった」状態です。
 ヒトの栄養学説でもこうした国情の差が無視されて論じられることも少なくないのですが、鳥飼養においても、欧米の飼育書における「望ましい食生活」と日本の事情とが完全一致しないことは頭に入れておかねばなりません。最も端的な例がリンとカルシウムの関係です。リンはすぐにカルシウムと結びついて体外に排出してしまう性質を持っています。ヒトのインスタント食品やレトルト食品にリン酸塩が多く含まれているのは周知の事実で、これがヒトの(特に子供の)カルシウム不足の一因とさえ言われています。欧米の鳥用ペレットなども、こうした成分が多く含まれていないか、十分考えなければいけないことになります。欧米で成績が良かったからと言って、日本でも同じ結果が得られるかわからないのです。